
こどもの泌尿器疾患
こどもの泌尿器疾患
こどものおねしょ(夜尿症)は、「5歳以上で1か月に1回以上、夜の尿漏れが3か月以上つづくもの」と定義されます。男の子に多いですが、5歳で15-20%、7歳で10%、10歳で5-10%くらいと、自然に治ることが多いです。小学校に入っても治らない場合に、両親が気にすることが多いです。本人も気にしている場合などは、受診することをお勧めいたします。夜尿症があることで、自尊心が低くなり、夜尿症が改善したことで自尊心の回復が見られたとの報告もあります。
まずは生活指導を行います。寝る前2-3時間の飲水量を減らし、寝る前に必ずトイレに行っていることを確認します。成長とともに膀胱容量が大きくなり、夜間覚醒できるようになれば、自然に治ることも多く、小学生低学年では、しばらくこれだけで見てもいいかもしれません。なかなか改善しない場合は、ミニリンメルト(寝る前に服用し、夜間尿量を減らす薬=抗利尿ホルモン剤)が有効です。成長により、膀胱が大きくなるのを待つ方法です。中止すると再発することも多いですが、再発がなければ終了となります。他に、膀胱を広げる薬(抗コリン薬)などを使用することもあります。
他に、おねしょアラームという方法もあります。インターネットなどで物品を購入する必要があります。寝る前にこどものパンツにセンサーを付け、尿漏れでパンツが濡れるとアラームが鳴るものです。それでもこどもはなかなか起きないので、親が起きて、トイレで残りの尿を排尿させる必要があります。3か月程度続けると、機序は分かりませんが、しっかり尿を貯められるようになるようです。挫折が多いのが欠点です。
包茎とは陰茎先端の亀頭部が包皮で覆われている状態のことです。生まれたばかりのこどもは全くむけない状態(真性包茎)が正常であり、成長とともに徐々にむけていき、亀頭が露出できる割合は3-4歳で約5割、11-15歳で7割を超えます。亀頭が十分露出できる状態(仮性包茎)が正常です。
2-5歳頃では真性包茎も多く、包皮と亀頭の間に恥垢が貯まりやすく、細菌感染等を起こすと、包皮が赤く腫れたりして、排尿痛、陰部の痛み等が生じます。これを亀頭包皮炎と言います。治療としては、軟膏、飲み薬、および用手的に包皮と亀頭の癒着を剥がし、亀頭を露出させ、膿を出す、恥垢をとることも有効です(必須ではありません)。
成人の真性包茎、こどもでも、嵌頓包茎(元にもどせない包茎)、包皮が硬くなりすぎた包茎などは手術対象となります。海外では、宗教的に幼児期に手術する民族(ユダヤ、イスラム)や文化的背景で手術が多い国(アメリカ、韓国)などもありますが、日本では、一般的には手術はしておりません。
陰嚢が大きくなる病気です、痛みは通常ありません。精巣は胎児の時に腹腔内から精巣を包む腹膜とともに陰嚢内へ降りてきます。このため、腹腔内と精巣周囲は細い通路(鞘状突起)でつながっています。生まれる前にこの通路は閉鎖していることが多いですが、わずかに開いたままの場合があります。開いている場合は、腹腔内と連なっているため、本来腸を滑らかに動かすための腹水が陰嚢周囲に流れ込みやすくなり、腫れてきます。2歳くらいまでには自然に閉鎖し、治ることが多いです。通路が大きく開いている場合には、腸が落ち込んでくることがあります、これを鼠径ヘルニアといいます。この場合は自然には治りませんので、早期の手術が必要となります。心配なら、来院して下さい。
こどもと同様に陰嚢が大きくなる病気です。鞘状突起は閉鎖しており、原因不明です。多少の腫れは放置で問題ありませんが、日常生活に支障がでるようなら、超音波で確認し、針で水を抜きます。頻回に繰り返す場合は、手術を要することもあります。
包茎とは陰茎先端の亀頭部が包皮で被われている状態をいいます。生まれたばかりの男の子は全くむけない状態が正常で、むける時期はこどもによって様々です。4~5歳になると亀頭が見えるまでむけることもありますが、ほとんどの男性では、陰茎が成人の大きさに成長した段階で包皮をむいて亀頭を露出できるようになります。成人後の真性包茎は、手術が行われることがあります。包茎手術は、環状切除といって余っている包皮をリング状に切除して残った皮膚を縫い合わせる方法が一般的です。
精索とは精巣に連なる精管、動脈、静脈、リンパ管が束状になった構造をしております。精索捻転症とは、この精索がねじれてしまった病態です。精巣が大きくなり、精索が不安定な時期である思春期に多く、夜間睡眠中などに、突然の陰嚢痛で発症することが多く、下腹部痛、吐き気なども伴うこともあります。左側に多く、ねじれによって、精巣への血流が遮断されることで、時間がたつと、精巣が壊死してしまいます。視診や超音波などで精巣への血流を確認することで診断します。
用手的にねじれを戻す処置を行いますが、疼痛などで改善困難なことが多く、その際には緊急手術により、ねじれを戻し、ねじれにくいように固定する処置が必要となります。精巣温存できるのは、6時間以内で90%、12時間以内で50%、24時間以内で10%、24時間を超えると0%と報告されており、捻転を解除しても、精巣への血流が戻らない場合は、摘出せざるを得ません。恥ずかしいと言って我慢していると大変なことになります。可能な限り早めの診断、手術が重要となります。
精巣は胎児期にはお腹の中にあり、出生前に鼠径管を通って、陰嚢内に降りてきます。これは精巣が正常に機能するためには、比較的温度が低い陰嚢内が最適なためです。出生時に陰嚢内に精巣が触れない状態を停留精巣と言います。新生児期には約5%に見られ、1歳の時点では約1.5%と言われております。生後6か月までは、自然下降が期待できますが、1歳以降は自然に下降する可能性は低く、2歳までには手術療法が必要となります。診断は触診やエコー、MRIなどで行います。停留精巣は不妊の原因になり、手術後でも将来こどもを作る能力は片側で70-90%、両側で30-65%です。他に、頻度はかなり低いですが、正常精巣に比べてがん化(3~4倍)しやすく、手術で陰嚢内に精巣があれば、仮にがん化しても、早期発見が可能となります。精巣が陰嚢内にあったり、上がったりする病態を遊走精巣と言いますが、これは精巣機能も正常であり、治療対象にはなりません。
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