
自由診療
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EDとはErectile Dysfunction(勃起機能の低下)の略語です。医学的には「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態が持続・再発すること」と定義されています。2022年の調査では、軽度~中等度EDは約1050万人、中等度~完全EDは約950万人と推定されています。
EDは原因によって、4つのタイプに分けられます。
心因性ED
比較的若い方に見られます。精神的・心理的な要因で、勃起不全が起こるタイプです。日常生活でのストレス、パートナーとの関係、以前の性行為でのトラウマなどにより、性的な刺激があっても、十分に勃起ができなくなることがあり、精神的・心理的な要素を取り除くことが大事です。身体的な問題がない方が多く、一時的にED治療薬を使用することで、自信を取り戻し、パートナーとの良好な関係を築くことで、改善を図ります。
器質性ED
糖尿病、動脈硬化症など、血管が悪化し、陰茎海綿体に十分な血流が流れにくくなり、十分な勃起が得られなくなる状態です。生活習慣の改善、持病の治療を行うことが大事です。脳梗塞、心筋梗塞などの前段階としてのED(チンチン?梗塞)が注意信号ともいわれております。陰茎への血流が相当悪い方、前立腺がん手術など高度な神経障害の方は、改善しないことも多いです。
混合性ED
①の心因性、②の器質性が混合しているものです。
薬剤性ED
抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬など、薬の副作用が原因で起こることがあります。
問診票(IIEF 国際勃起機能スコア)により、診断、重症度を確認します。
糖尿病、心疾患、手術歴も有無、内服薬の確認等を行います。
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①勃起を維持する自信の程度はどれくらいありましたか? | 非常に低い | 低い | 中くらい | 高い | 非常に高い | |
②性的刺激による勃起の場合、何回挿入可能な勃起の硬さになりましたか? | 性的刺激は一度もなし | 全くなし又はほとんどなし | たまに(半分よりかなり低い頻度) | 時々(半分の頻度) | おおかた毎回(半分よりかなり上回る頻度) | 毎回又はほぼ毎日 |
③性交中、挿入後何回勃起を維持することができましたか? | 性的刺激は一度もなし | 全くなし又はほとんどなし | たまに(半分よりかなり低い頻度) | 時々(半分の頻度) | おおかた毎回(半分よりかなり上回る頻度) | 毎回又はほぼ毎日 |
④性交の際、性交を終了するまで勃起をいじするのはどれくらい困難でしたか? | 性的刺激は一度もなし | ほとんど困難 | かなり困難 | 困難 | やや困難 | 困難ではない |
⑤性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか? | 性交の試み一度もなし | 全くなし又はほとんどなし | たまに(半分よりかなり低い頻度) | 時々(半分の頻度) | おおかた毎回(半分よりかなり上回る頻度) | 毎回又はほぼ毎日 |
重症度分類 | 合計点(25点満点) |
EDなし | 22〜25 |
軽度 | 17〜21 |
軽度〜中等度 | 12〜16 |
中等度 | 8〜11 |
完全ED | 5〜7 |
昔は有効な治療薬がありませんでしたが、1999年発売された有名なバイアグラにより、一変しました。陰茎海綿体への血流を増やすことで、勃起力・持続力を手助けする薬です。バイアグラ以後、レビトラ、シアリスと新たな薬も発売され、それぞれ特徴があります。満腹時に飲むと効果が落ちやすい薬や、持続時間(4-36時間)にも差があります。性欲が出ることはありません。いずれも心臓病などでニトロ製剤などを服用している方は、使用できません。これらED治療薬は、陰茎、前立腺、膀胱の血流を改善させますが、他、肺の血管を広げることで、心臓の負担を減らす効果もあり、肺高血圧症にも適応があります。血管内皮細胞を活性化する働きがあり、全身の血流改善、血管の老化を防ぐ目的でアンチエイジングに使用されることもあります。血流がよくなることで、顔がほてる、頭痛などの軽度の副作用もありますが、あまり重篤な副作用はなく、約80%の方がよかったと答えております。また20-30代の方では、射精時間が遅くなった方が約70%であり、機序不明ですが、早漏にも有効かもしれません。
当院では、プライバシーに配慮し、薬は診察終了後、診察室で医師より直接手渡します。また、オンライン診察も随時行っており、対面診察に抵抗がある方などはご利用ください。心因性EDの方などは、薬でいったん自信がつけば、薬なしでも十分な性行為可能となる場合も多いです。迷っておられるようでしたら、ぜひ相談しにきてください。
最近、テレビコマーシャルなどでよく目にするAGAとは、Androgenetic Alopeciaの略語であり、男性型脱毛症のことです。思春期以降に、額の生え際や頭頂部から、髪の毛が薄くなり、徐々に進行していく病態です。成人男性の約1/3に見られる一般的な病態でもあります。
髪の毛は、「成長期」→「退行期」→「休止期」のサイクル(約4-5年)で生え変わりますが、AGAの場合は、成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなり、髪の毛が十分に成長せず、抜けてしまうため、薄毛になってしまいます。
原因は、遺伝によるものと男性ホルモンの影響とされています。男性ホルモンの一種であるテストステロンは体内でジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。脱毛箇所には、このジヒドロテストステロン(DHT)が高濃度にみられ、ヘアサイクルの成長期を短くする原因と考えられています。進行性の疾患であり、早めの対処で改善が見込まれます。
治療は、デュタステリド/フィナステリドなどの内服薬を使用します。これはジヒドロテストステロンが作られにくくする作用があり、髪の毛を太く、長くする効果が期待されます。ヘアサイクルは長いので、薬の効果を確認するには、半年程度かかります。最初の1-3か月では初期脱毛と呼ばれる一時的な脱毛が見られること(約10%)がありますが、ヘアサイクルが元に戻る過程での変化であり、あまり心配ありません。3-6か月で改善し、6~12か月程度で発毛効果が実感されることが多いです。以後は、継続が重要となります。効果の発現には、個人差があり、短期間で中断してしまうと、再度悪化することが多く、中止を検討する際には、相談してください。
シャンプー、育毛剤などは効果不十分なことが多く、デュタステリド/フィナステリドは、AGA治療ガイドラインの推奨度A(強く推奨される)とされております。
【副作用】
副作用の頻度は低めです。ホルモン系の薬であり、性欲減退1%強、勃起不全1%強などがあります。もともとは前立腺肥大症の方に用いる薬で、前立腺を小さくすることで、排尿障害を改善させる泌尿器科では以前からよく使用される薬でした。使用中に髪の毛が濃くなる、太くなるといういい意味での副作用が起こり、その後の研究等でAGAにも効果が認められると判明し、広く使用されるようになってきました。難しい話ですが、やや高齢の方では、前立腺がんで高くなるはずのPSA(前立腺特異抗原)が、薬の影響で半分程度に下がるため、前立腺がんが見つかりにくくなるという欠点もありますが、泌尿器科なら、専門領域なので、きちんと判断できます。
一応AGAという病名がついていますが、放置していてもすごいことが起きる訳ではないため、薬、診察には、保険が利かず、自費扱いとなります。
薄毛が気にならない方は、そのままでいいでしょう。気になる方は、薬を飲むだけと言えば飲むだけですので、ご相談しましょう。
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