
性感染症
性感染症
性行為等により、異性間、同性間で移る病気です。ウィルスや細菌などが原因です。恥ずかしいからと言って受診が遅れると、治療に難渋することもあります。またパートナーの診察、加療も必要となります。
淋菌性尿道炎
感染機会の後、2-7日、尿道から黄色の膿などが流出し、排尿痛、外尿道口の発赤などが出現します。強めの刺激症状が出ることが多いです。尿中PCR検査で診断します。治療はセフトリアキソンの点滴が最も有効です。内服薬は耐性が多く、勧められません。
クラミジア性尿道炎
感染機会の後、3-14日、尿道から白色の膿などが流出します。排尿痛もありますが、淋菌性尿道炎に比べれば、比較的軽めのことが多いです。無症状のこともあります。尿中PCR検査で診断します。アジスロマイシン、レボフロキサシン等の内服抗生剤で加療します。
非淋菌性非クラミジア性尿道炎
(ウレアプラズマ、マイコプラズマ)
クラミジア性尿道炎と似たような症状、同様の内服抗生剤で加療します。以前は同定困難でしたが、最近は新しいキットが発売され、同定可能となりました。難治性の場合などに調べます。
比較的すぐに治ることが多いですが、淋菌+クラミジア等の混合感染もあり、治療が難渋することもあります。治療失敗例もありますので、自己判断で薬を止めず、決められた日数はきちんと服用してください。同時にパートナー加療も必要です。揉めないよう、相談してください。
性行為等で感染し、オーラルセックスで感染することも多いです。感染後3-7日程度で亀頭、陰茎などに発赤、水疱など多発することが多く、初感染の場合は疼痛も強いことが多いです。自然経過で2-4週間程度で治癒します。診断は見た目で判断できることが多いですが、病変部からの検体チェック(約10分)でウィルスを同定できるキットもあります。バルトレックス等の抗ウィルス薬で治療します。このウィルスは症状が無くなっても、神経節など体内に残存しますので、抵抗力・免疫力が落ちた時などに再発しやすくなります。再発時は同様の治療を行いますが、頻回に再発する方(年4回以上)は、再発予防の内服をすることもできます。
女性の方では、感染機会の3-7日後、突然の性器の痛みで発症します。陰唇~会陰部に水疱、潰瘍が多発します。ひどい場合は発熱、頭痛などもあり、尿閉、便秘、歩行困難となることもあります。このような時は婦人科での入院加療となることもあります。軽い場合は、膀胱炎と似た症状ですが、ぶつぶつが出てるようでしたら、教えてください。陰部視診で判断できますが、見ない場合は、急性膀胱炎と誤診されることが多くなります。
ヒトパピローマウイルス(HPV6,11)が性行為等により感染した後、3週間~6か月程度で発症します。男性では亀頭、環状溝、包皮など、女性では陰唇、膣、子宮頚部、会陰部など好発する、乳頭状の腫瘤です。診断は視診で容易に行えます。
電気凝固、凍結療法などの外科的治療と塗り薬(ベセルナ軟膏)があります。
当院では、電気凝固術による治療が可能です。なるべく早期に行います。必要に応じて、塗り薬の治療も併用します。塗り薬(ベセルナ軟膏)は、週3回、寝る前に患部に塗り、起床後にしっかり洗い流すことを繰り返します。1-3か月と治療期間が長いことと、ただれなどで中止せざるを得ないことも多いです。再発率が高く、少なくとも3-4か月程度の観察が必要です。治療中の性行為は当然禁止であり、パートナー加療も必要です。コンドーム使用が予防になります。
女性の方は婦人科での診察・加療となります。
ヒトパピローマウイルス(HPV16,18)に感染すると、稀な病気ですが、陰茎がんのリスクが高くなります。女性の子宮頸がんもヒトパピローマウイルス(HPV16,18)が主な原因であり、予防として、ワクチンも普及しつつあります。男性へのワクチンも実は有効であり、コンジローム、陰茎がん、パートナーへの子宮頸がん予防に役立ちます。保険が効かないため、自費扱いとなります。
梅毒は終戦後の1940年代に爆発的に増加、ペニシリン導入後に減少、1960年代に神戸など港町から流行、しばらくは減少していましたが、2021年より急増しています。
梅毒トレポネーマという細菌が原因で、主に性行為が感染の原因です。感染初期(1期、3週~)には、陰部、口腔内などにびらん、硬結などが出現、さらに鼡径部のリンパ節腫脹などが出現します。放置すると、いったん自然になくなることがありますが、その後(2期、9週~)全身、足の裏、手のひらなどに赤い斑点(バラ疹)が広がってきます。口唇、口腔内などに灰色の班、びらん、潰瘍などができます。これ以上は私も見たことがありませんが、3期(3年~)ゴム種(下腿などに瘢痕、潰瘍など)、4期(10年~)大動脈瘤、進行性麻痺など、恐ろしいことが起きるようです。
診断は血液検査にて、RPR、TPHAを測定することで判断します。感染していても、初期(1か月程度)の頃は、検査ではっきりしないこともあり、再検査を要することがあります。
主にペニシリン(内服薬、注射剤)を用います。治療開始直後に熱発、頭痛、皮疹などの症状が現れることがありますが、一時的なことで心配ありません。内服をやめる必要もありません。治療効果判定には、再度血液検査(RPR)を行います。治癒後6-12か月は採血チェックが無難です。パートナーの検査も必要です。
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